ねじまき柴犬の気ままなつぶやき | ねじまき柴犬の気ままなつぶやき-失いながら生きていく-ぐるぐるとほわほわ-
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小説

ハートに火を点けて 11 20XX/X/X サキ再び

・20XX/X/X気がつくと目の前には青空が広がり、誰かが寝転がっている僕の顔をのぞき込んでいた。「遅くなってごめん、ラクダ。ここの、セキュリティが、超厳しくなってて、な、なかなか来られなかったんだ。」僕は驚いて飛び起きた。逆光になり初めは...
小説

ハートに火を点けて 10 2030/2/8

・2030年2月8日(金)それからの2週間は、監禁され部屋から出る事を許されなかった。実際にされた事はなかったが、留置所に拘留されると、こういう気持ちになるのではないかと思った。食事は1日に3回、虚ろな目つきをしたベルボーイの青年が、部屋に...
小説

ハートに火を点けて 9 2030/1/26

・2030年1月26日(土)翌日、早々に僕は至急キドに会いたいので連絡を取って欲しいとフロントに伝えた。フロントの女性からはいつものとても感じの良い笑顔で「スケジュールを確認しますので部屋でお待ちください。」と言われた。キドは午後になってか...
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ハートに火を点けて 8 20XX/X/X

・20XX年X月X日(?)僕は久しぶりにサキの夢を見た。いや本当に夢だったのだろうか?今となっては自信がない。再び僕は大学の屋上いた。この前の夢の続きのようにも思えたが、以前の寂れた雰囲気はなく床や手すりは綺麗に舗装されていた。時間はすでに...
小説

ハートに火を点けて 7 2030/1/25

・2030年1月25日(金)今日で当初の契約期間である2週間が終わろうとしていた。明日、キドに連絡を取るつもりでいたが、僕はすでに1週間延長しようと決めていた。ハローワークに行くのはまだ先でよかったし、他に特別な用事もなかったからだ。そして...
小説

ハートに火を点けて 6 2030/1/22

・2030年1月22日(火)この施設に来てから早くも10日余りが過ぎた。キドの言った通り、ここでの生活に一切不自由は無かった。まず建物内の食堂では無料で食事をする事ができた。朝食はバイキング形式、昼夜は日替わりメニューで種類はそれほど多くな...
小説

ハートに火を点けて 5 2030/1/10 PM

・2030年1月10日(木) PM建物の中に入ると、すぐにフロントらしきものがあり、ベルボーイのような人間まで待機をしていた。僕と男が入るとみな無言でお辞儀をした。まるで高級なビジネスホテルのような雰囲気だったが歓迎のような言葉は無かったの...
小説

ハートに火を点けて 4 2030/1/10

・2030年1月10日(木)解雇通知を受けてから3日後に僕は失業給付金の申請のため、地元のハローワークまで行った。コロナ渦が収束し世界経済もようやく回復の兆しが見え始めてはいたが、ハローワークは相変わらず大勢の求職者達であふれ、カオスのよう...
小説

ハートに火を点けて 3 2015年 秋

・2015年 秋解雇通知を受けた日の夜、僕がまだ大学に通っていた頃の夢を見た。かれこれ15年も前の事になる。僕は授業をサボって屋上でiPhoneで音楽を聴きながら煙草を吸っていた。仰向けに寝そべって吸いながら煙を吐くと、青空と煙が重なってと...
小説

ハートに火を点けて 2 2030/1/7

・2030年1月7日(月)正月休みが明けてから、すぐに会社から呼び出しがあった。呼ばれた理由はなんとなく想像ができていた。人事部の応接室に行くと案の定、部長の段田がいつものアルマーニのスーツを着て待っていた。駐車場にBMWが停まっていたので...
小説

ハートに火を点けて 1 2029/12/28

・2029年12月28日(金) 「さあ、ボッと燃やしてしまおうぜ、タダノ君。時間はまだ十分にある。」僕の中に残っていた、まだやんちゃだった頃の僕が語りかける。その声に押されてオイルライターのカバーを押し上げると、「カキーン」という反響音とと...
エッセイ

生まれ変わったら、また自分に生まれたいか?

去年の今頃、Lineマンガにハマっていて、平日は会社から帰ってからすぐ読み始め、休日は寝起きに顔を洗ったら朝ご飯も食べず、すぐに読み始めるような生活をしていた。さすがに課金まではせず、無料で読める範囲で数本を読んでいたので、せいぜい1.2時...
エッセイ

不幸中の幸い(身体の傷と心の傷)

僕の身体には、無数とまでは言わないけれど結構傷が残っている。右の人差し指と中指に火傷の跡がある。これは子供の時に石油ストーブを消した後、まだ冷めていないうちに、ストーブの芯を握ってしまったからだ。もう赤くなっていなかったから熱くないことを確...
エッセイ

自分がまだ知らない自分について

最近、僕には自分という人間に対して客観的な評価をする能力が乏しいような気がしてきている。要は自分の事が根本的に解っていないんじゃないかと思うようになってきた。例えば僕は以前に知人から「自分が天然だと解っていない天然キャラ」と言われた事があっ...
エッセイ

人生の落とし穴2-現実は厳し-(>_<)-

現実は厳し-(>_<)-この前のミスをブログに書いた事で、早く忘れたいと思っていたが、そうは問屋が下さなかった。翌週早々に、お客様から会社へ正式にクレームが入り、再発防止策を立ててくれと要請が入った。本社から部長がお客様先へ、つまり現場へ謝...
エッセイ

トイレが汚い夢を久しぶりに見た。

トイレが汚い夢を久しぶりに見た。ブログに書いて思い出したせいだろうか。トイレは僕が以前、実家に帰っていたときに住んでいた離れのプレハブのような建物の中にあった。お粗末なものだったが、中は案外広くて6畳間が3つくらいのスペースがあった。その中...
エッセイ

アンチエイジングについて

アンチエイジングとは、加齢による身体の機能的な衰え(老化)を可能な限り小さくすること、言い換えると「いつまでも若々しく」ありたいとの願いを叶えることです。 ただし実際の年齢に逆らうことは出来ませんので、その意味としては「抗老化」となります。...
エッセイ

トイレが汚い夢をしばらく見ない

僕は数年前に、トイレが排泄物で汚れていて用を足せない夢をよく見ていた。トイレは実家に近いような家にあったが夢なのでやはりちょっと違っていた。まず2階のトイレに行くと排泄物(つまり便)が便器や床にまるでヒョウ柄のようにこびりついている。しかも...
エッセイ

人生の落とし穴

やってしまった。(>_<)以前、ブログで書いたように僕はプリンターサポートのコールセンターで働いている。そこに動作確認用のプリンターが30台くらいあるが、LANの接続口が足りなくて4つくらいのHUBに接続してる。一部のプリンターが接続不良に...
エッセイ

お花見の時期ではありますが…。

最近、残業が多くてなかなか平日は時間が取れなくなってきた。休日には部屋の掃除をしてジムに行き、定期的に色々な医者に診察や薬をもらいにいく。そして月一で実家の片付けに行き、カラオケにも行くと、ほぼ週末の予定が埋まる。隙間時間にブログのネタを仕...
エッセイ

白く見えるカラス

NHKの「Dearにっぽん」という番組で「人生に寄り添い、本を選ぶ古本屋」を紹介していているのを見た。老若男女さまざまな悩みを持つ人達から依頼を受けて、28才の若い女性店主が依頼者はどういう人なのか、どんな本を選べば心に寄り添えるのか思いを...
エッセイ

ガラ携で撮っていた大昔の動画の話

ちょっと恥ずかしくて痛い話…。当時の妻とそれぞれの友達の4人でカラオケボックスに行った時に、ガラ携で撮っていた動画を見ることが出来た。作成日がなんと2004年だったから約20年前の貴重な動画だ。前のPCに保存していた物を移行していたからそれ...
エッセイ

パソコンの不可解なトラブル

僕はコールセンターで働いているが、この前、会社で検証用にiMacの最新版を購入してもらった。Macintosh自体のサポートをしているわけではなく、プリンターのサポートをしているが新しいmacOS Ventura(OS13)になってから仕様...
エッセイ

昨今の昭和ブームについて

今、昭和歌謡とか昭和の頃に流行ったもの、常識だったものを特集で紹介する番組が増えている。ただ内容的には昭和というかバブル期のものが多い気がした。何でだろうか考えてみた。音楽で言うとおそらくその頃は、今の時代にはないリズムやセンスやノリがあっ...
エッセイ

もう若くない?シフトチェンジしなきゃ…。

昨日は兄とまた家の片付けに行った。何しろ部屋は多いし母は片付けが苦手で物を捨てられない人だったので大変だった。4時間くらい作業したけどやることが多すぎて全体像がみえず、先は長そうだ。また横浜から埼玉の春日部の家に行くまで往復で4時間もかかる...
エッセイ

空間把握能力について

空間把握能力とは、物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力の事。空間認識能力が低いと身体の感覚や動作が鈍くなり、距離や幅、高さをとらえる事が難しく、物 にぶつ...
エッセイ

1人になりタイマー

昨日、ブログにコメントが入っている夢を見た。内容は「いつまで1人でいるんですか?」というものだった。初めてのコメントだっだし、僕が離婚して独り身だと理解してくれているなら結構読み込んでくれているんだなと思って嬉しかった反面、痛いなとは思った...
エッセイ

人生の根っこみたいなものについて 2

昨日、母の49日の法要が終わり、母が仏様になった。お坊さんがお経を唱えている間に、病床で母が「まだ死なないからね。」とつぶやいていた事を思い出し、ひょっとしてまだ成仏したくない言って姿を現すんじゃないかと思ってずっと目を凝らしていたけど、幸...
エッセイ

解放の呪文からの解放

僕が中学2年生の時、両親が突然離婚をした。僕は母に引き取られたが、母は僕や兄に何の説明もなしに離婚して、いつの間にか再婚していた。そして離婚して1ヶ月後に引っ越しをしたと思ったら、冗談みたいな話だけど、その家にはすでに母の再婚相手となる義父...
カラオケリポート

柴犬のカラオケリポート(3月編)

柴犬です、こんにちは。久しぶりにカラオケ行ってきました、と思ったらまだ1ヶ月くらいしかたっていなかったですね。これでも普通の人に比べたら頻度高い方なんでしょうね。(^^;)今回は、リップロールやタンロールなどウォーミングアップを丹念におこな...
エッセイ

ワイヤレスイヤホンのトラブル

この前、朝の通勤途中電車の中でiPhoneの調子が悪くてネットに繋がらなかったので再起動をした。それでネットは繋がった安心していたら、ワイヤレスのイヤホンから聞こえる音が急に小さくなったので「あれっと」思ってボリュームを上げたら、近くにいた...
エッセイ

giveとtakeの生き方について

僕はgiveとtakeでいうとどちらかというとtakeな生き方をしてきた。4人兄弟の末っ子に産まれたせいだろうか?おっとりしているようにみられたのか、人の世話をするより、世話をしてもらう機会の方が圧倒的に多かったと思う。またそのせいか人をも...
小説

ピース(断片)を探して(最終章)

「うーん、口で説明するのはなかなか難しいわね...。できるかどうかわからないけど試してみるわ。」そう言ってから、彼女は軽く深呼吸をしてゆっくりと僕の手に自分の手を重ねた。小さいけれどとても柔らかく、温かい手が僕の手を包んだ。そして目をつぶっ...
小説

ピース(断片)を探して(中編2)

乗降客の多い駅に着いたとき、たくさんの人が移動する音とドアから入ってきた寒気で、突然、僕は半覚醒状態から目覚めさせられた。自分が何処にいて何をしていたのか分からなくなっていた。なんとか意識を現実になじませようと、手を何度か開いたり閉じたりし...
小説

ピース(断片)を探して(中編1)

古ぼけた木材の木目が見える、はっきりと。それはどうやら下駄箱で、僕の名前があるような気がする。湿った木と汗の匂い、3月の冷たい雨が鉄筋の校舎に降り注ぎ、音にならない優しい雨音が聞こえる。遊び疲れたはずの子供達は、なおにぎやかに廊下を駆けてゆ...
小説

ピース(断片)を探して(前編)

これは僕が学生の頃に書いた小説を手直ししたものです。そのため、今の時代にそぐわない表現が多少出てきますが、ご了承ください。(^_^;)夜の地下鉄というのは、2重の闇に覆われている。トンネルの中は闇。電車が地上に出ても、ネオンサインや天気の良...
エッセイ

松本零士さんについて

昨日、松本零士さんがお亡くなりになった。テレビの報道番組で松本零士さんが反戦をテーマにして漫画やアニメーションを制作されていたような解説をしていたが、何かピントがずれている気がした。今の風潮に合わせたのだろうか?きっとロシアとウクライナの戦...
エッセイ

解放の瞬間

大学生の時、叔母(母の妹)夫妻の家(カナダのトロントにあった)に夏休みにホームステイをしていたんだけど、会うのも初めてでかなり遠慮していた。個室もなく英語しかできない従兄弟と同じ部屋に寝泊まりしていて、言葉も通じないし従兄弟は僕が英語をできないことを理解していなくて「なんで人の言うことを聞いていないんだ!」みたいな理不尽なことを言われて、なかなか緊張感も取れないでいた。
カラオケリポート

1人カラオケについて話すこと

最近、1人カラオケに行っている事を人に話すのが恥ずかしいと思うようになってきた。以前は堂々と言えていたのに。よく笑われたり、不思議がられたりしたけど自分でネタにするくらい堂々と言えていた。今でも月1回くらいのペースで行っているけど同僚や上司...
エッセイ

続・バック・トゥ・ザ・フューチャー

前回、バック・トゥ・ザ・フューチャーのことを書いていたら映画の興奮が蘇ってきた。パーティー会場でマーティの父親ジョージがビフを殴ってロレインを救い出したのを見て感動のあまり鳥肌がたった。デロリアンが雷が落ちるタイミングに間に合ってゴールに到...
エッセイ

チキンでもいいんじゃないかな…

僕はたまに癇癪を起こしてしまうことがある。しかも何で怒っているのかよく分からないとよく言われた。もちろん僕なりの理由はあったけど、口下手なので大抵はうまく説明ができず黙ってしまうことが多かったので、理由もなく些細なことで怒っていると思われて...
エッセイ

人生の根っこみたいなものについて

どこか下町にある老舗の洋食店でも布団屋なんかでもいいんだけど、2代目に生まれて後を継ぎたかったと思うことがある。若いうちから仕事を教え込まれて、職人気質の父親から散々ダメ出しをされて、自分の人生に疑問を持って一度家を出て大学にいったりサラリ...
エッセイ

うーん年取ったのかな?

Z世代が解らない。当たり前か、バブル世代なので。でもたまたまミュージックステーションを見ていて80年代の曲がTikTokでバズっているって聞いて踊っている映像を見ても、残念ながら全く共感できるものが見当たらなかった。80年代の曲は同じフレー...
カラオケリポート

久々のカラオケリポート

エッセイでも書きましたように最近母が亡くなりましたが、母の病床で何度も美空ひばりさんの歌をかけていたせいか、どうしてもカラオケで歌いたくなりました。それで葬儀の次の日にカラオケに行きました。ただ別に追悼の意味とかではなく、純粋に歌ってみたかったのと、一度お腹から大きな声を出してモヤモヤしたものを吐き出してみたかったからです。
エッセイ

地下鉄の謎

まだ学生の頃だから、大昔の話だけど僕は地下鉄で乗り過ごしてそのまま車庫まで行ってしまったことがあった。北千住から千代田線に乗って、終点の代々木上原で小田急線に乗り換えなきゃ行けなかったんだけど、寝過ごしてしまい降りることができなかった。
エッセイ

人生70~80%くらいの不幸

ずっと何かしらのエピソードについて書いていたけど母が死んでこの前葬儀が終わった。まだ悲しみが癒えてはいないけど、自分の人生の不幸について振り返ってみた。
エッセイ

いつもあなたはそこにいない

「いつもあなたはそこにいない。」僕は妻にいつもそう思われていた気がする。例えばいつもの定番のバラエティー番組を見ながらご飯を食べていてそれぞれ思ったことを言ったり冗談を言ったりしていている時間。たいていは妻が喋り、僕がそれに答える。ちゃんと会話をしているし、かみ合ってもいる。コミュニケーションは成り立っているので現実的に僕はそこにいるはずだった。
エッセイ

青いせせらぎをききながら

母が今日永眠した。朝、兄からの電話で起こされて知った。数日内には死んでしまうだろうと聞いていたので驚きはしなかった。すぐに施設まで駆けつけた。幸い霊安室に運ばれる前だったので最後のお別れが出来た。予想通り、泣くことはなかった。兄達も同様で、冷静に今後のことを考えていた。
エッセイ

最近通った医者の数と、菅原文太さんについて

最近行った医者の数が数知れない。人間ドックで腹部大動脈瘤が見つかったり、再検査でCTスキャンをしに行ってから色んな事が不安になってきた。兄に話したら多少医学の知識があるので腹部大動脈瘤があると脳にも動脈瘤ができている可能性があると言われ、また頸部に違和感もあったこともあり脳神経外科でも検査を受ける事にした。
エッセイ

母の危篤-川の流れのように-

今日、出社直前に母が危篤になったと兄から連絡があった。そのため、急遽仕事を休んで母の入院している施設まで駆けつけた。横浜から埼玉の春日部まで行くのに、2時間半かかったので心配だったが幸い母はまだ生きていた。着いた直後は意識も朦朧で今にも死にそうな状態だったが、酸素吸入を繰り返している内に回復してきてなんとか一命は取り留めた。
小説

短編小説-カカ男の憂鬱-

ちょっと時期が早いですがバレンタインデー向けに以前に書いた小説です。溶かされて型に入れられるチョコレートになった気分でお読みください。(笑)
エッセイ

僕が先生と呼ばれていた頃

僕は大学を卒業してから1年だけ学習塾の先生をしていた。その理由は、前年の夏休みにカナダにホームステイをしていたことだった。カナダのトロントに母方の親戚がいて5週間くらい滞在をした。
エッセイ

母について、このブログについて

母が死に瀕している。末期の肝臓がんでもってあと余命一ヶ月。今はホスピスのようなところに入居しているが治療行為はほぼ行っていない。痛みを緩和する治療だけだ。いつ死んでしまうか解らないので、1時間に1回くらいはメールや留守電をチェックしている。何も連絡がなければ母がまだ生きていていて良かったと思う。
小説

短編小説-雪壁のルール-(後編)

ある日、シナプスは意を決したように雪壁を上方に向かって掘り始めた。ある程度掘り進めた所で、ついに雪壁は砕け散り視界が開けた。そこには満天の星空があった。辺り一面には深く雪が降り積もっていたが、誰もそこを歩いた形跡はなかった。水蒸気の結晶が、万華鏡を覗き込んだ時のようにきらきらと空気中を漂い、遠くに湯煙が立っているのが見えた。
小説

短編小説-雪壁のルール-(前編)

「全ての物事の基本は道なんだ。道とは人として踏み行うべきもの、道理だ。道がなくては目的地には到達できない。君は今まで道を作るということがどういうことか、考えたことがあるかい?」シンは黙って首を振った。
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夢日記-鉄砲水-

僕は何かの理由で一人旅をしていて、まわりを山に囲まれた盆地のような所にある小さな町のホテルに泊まっていた。そのホテルは湖水の透明度が高い事で知られている湖に面していて、ロビーからはその全体像を見ることができた。というのは、そのホテルが町の風景に似合わない近未来的な構造をしていて、高層ビルと言っていい程の建物の外壁は全て硬質ガラスで作られていたからだ。
エッセイ

のぽについて

僕は離婚した妻の置いていったぬいぐるみをまだ捨てられずに持っている。たまに洗濯したりもしているし、Lineの待ち受けアイコンなんかにしたこともある。ただ友達に話すと絶対引かれると思うので話したことはないけど。それがのぽだ。
エッセイ

サリーとの会話

僕が20歳くらいの頃、実家はサリーという名前の中型の雌の柴犬を飼っていた。サリーは、ほぼ生まれ立ての状態で家にもらわれてきた。そのため今思えばめちゃくちゃ可愛い頃だったけど、当時の僕は、頼まれたら散歩に行く程度で、サリーの世話をあまり積極的にはしていなかった。
エッセイ

僕には可愛いが解らない

僕が可愛いが解らない人間だとはっきりと感じたのは28歳の時だった。きっかけは会社の同僚から昼休みにある漫画を見せられた事だった。時はバブル真っ盛り、同僚は不意に「少年ジャンプ」の見開きページを僕に見せて「これ可愛いと思わない?」と話しかけてきた。
エッセイ

僕は外人みたいとよく言われたきた。

僕は子供の頃から外人みたいとよく言われてきた。髪の毛が茶色く、色素みたいなものが全体的に薄くて目の色も薄い茶色で、肌も結構白かったからだ。友達は気を遣ってそういうことは言わなかったけど、知り合いがいないところに行くと、そう言われることがあって結構傷つく事があった。
エッセイ

父は天狗の話をしてくれた

父は僕がまだ幼い頃、寝る前によく天狗の話をしてくれた。詳細な内容は覚えていないけど、概要としては天狗が子供を山の中などにさらっていってしまう話だった。当時は僕はまだ3歳くらいだったので、おそらく最古の記憶の一つになる。
エッセイ

隣の席の女の子を好きになってしまう傾向について

僕にはいつも隣の席の女の子を好きになってしまう傾向があった。その傾向は小学校くらいから始まり、社会人になっても続いた。彼女がいるときも結婚してからも。もちろんすべての女性を好きになってしまった訳じゃない。(それじゃ身も心ももたない...)
エッセイ

不思議な体験-かなしばりについて-

僕は生涯で一度だけ「かなしばり」にあったことがある。心霊現象ではないと定義されてはいるけれど、そのときの体験は簡単にはそうは思えないものだった。人の手のひらのようなものが僕の心臓のあたりに乗っており押さえつけれているような感覚があった。親指から小指の形まで感じられた。
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