小説 | ページ 3 | ねじまき柴犬のドッグブレス

小説

2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝 最終話-物語の持つ力-

僕は食事はそこそこに、浴室へ向かいながら物語の締めくくりを思い描いていた。それは偉大なる豪商、イルファンのその後の命運についてだ。 目を開くと、そこには見知らぬ萱葺き屋根の天井があった。さっきまで弟の...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝5-戦友-

電話をかけると、意外な事に2.3コールであっさりと兄の声が聞こえた。「よう、シュン。久しぶりだな。どうしたんだ?何かあったのか?」「何かあったのかじゃないよ。さっき、母さんから留守電が入っていた。マサ...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝4-祈り-

それから、アリゼが兄の船が座礁した件を口にする事は一切無かった。海が穏やかな日は漁に出かけ、帰ってからは畑仕事に黙々と精を出し何事もなかったかのように日々を過ごした。アイニにもお話を読んで聞かせたり、...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝3-難破-

アリゼはうつ伏せになって、月明かりを頼りに兄からの手紙を何度も繰り返し読み返したが、やがて手紙を地面に放って仰向けになって泣いた。『何でだよ?何で兄さんが俺なんかに嫉妬なんかしなきゃならないんだ。兄さ...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝2-兄からの手紙-

アリゼの家に招かれたイルファンは、和やかな雰囲気に包まれ楽しい一時を過ごしていた。食事はルイカが腕を振るった。食卓には自家農園の採れたての野菜を煮込んだシチューと新鮮な焼き魚、小麦粉をこねて竈でふっく...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝1-兄、再び-

颯太にやんちゃな王子の話をしてから、数週間が過ぎた。僕は美穂に言われた事を意識して、折りをみて自分から颯太に話しかけるようになっていた。といっても、ぎこちなくなって何を言いたいのか解らなくなり颯太がき...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 11-王子と父親-

僕は無意識のうちにリビングを出て行く美穂に対して深々とお辞儀をしていた。それから寝室に行って寝そべってみたが、思った通り睡魔はなかなか訪れなかった。それは僕自身が、この物語の結末に終止符を打てていなか...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 10-美穂とルイカ-

シャワーを浴びながら僕はずっと、このもう一つの物語の事を考えていた。考えたくもない話だったが、頭の中に勝手に浮かび上がってくるストーリーは、これが真実だと言わんばかりに僕の頭の中を支配していった。次は...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 9-真実-

iPhoneの液晶には23:05と表示されていた。美穂からメッセージが来ていなかったので、まだ帰ってくるまでには時間がかかりそうだった。僕は、まだシャワーも浴びていないことに気がついたので、急いで浴室...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 8-終結-

「それからアリゼは黒船の船長、つまり本当の兄さんと商売の島の役場で話をした後、夜になってあまり人に知られていない海岸の岩場に行って話をした。初めは二人とも戸惑っていたんだけど、お城での昔話、王宮の庭で...
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