小説 | ページ 4 | ねじまき柴犬のドッグブレス

小説

2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝5-戦友-

電話をかけると、意外な事に2.3コールであっさりと兄の声が聞こえた。「よう、シュン。久しぶりだな。どうしたんだ?何かあったのか?」「何かあったのかじゃないよ。さっき、母さんから留守電が入っていた。マサ兄が交通事故にあったって。怪我の具合はど...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝4-祈り-

それから、アリゼが兄の船が座礁した件を口にする事は一切無かった。海が穏やかな日は漁に出かけ、帰ってからは畑仕事に黙々と精を出し何事もなかったかのように日々を過ごした。アイニにもお話を読んで聞かせたり、散歩に連れて行ったりしていつも通り面倒も...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝3-難破-

アリゼはうつ伏せになって、月明かりを頼りに兄からの手紙を何度も繰り返し読み返したが、やがて手紙を地面に放って仰向けになって泣いた。『何でだよ?何で兄さんが俺なんかに嫉妬なんかしなきゃならないんだ。兄さんみたいになりたかったのは俺なのに…。』...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝2-兄からの手紙-

アリゼの家に招かれたイルファンは、和やかな雰囲気に包まれ楽しい一時を過ごしていた。食事はルイカが腕を振るった。食卓には自家農園の採れたての野菜を煮込んだシチューと新鮮な焼き魚、小麦粉をこねて竈でふっくらと焼いたナンのようなものが出された。そ...
2023年

やんちゃな王子のための失われた王国 外伝1-兄、再び-

颯太にやんちゃな王子の話をしてから、数週間が過ぎた。僕は美穂に言われた事を意識して、折りをみて自分から颯太に話しかけるようになっていた。といっても、ぎこちなくなって何を言いたいのか解らなくなり颯太がきょとんとしていることがも多かったので、妻...
2023年

ハートに火を点けて 後書きのようなもの 2023/6/26

柴犬です。こんばんは。ようやく長編小説を書き終えたので偉そーですが、後書きのような物を書かせていただきます。(_ _)とりあえず書き終わってようやく解放されたという感じがしてます。なにしろ小説を書いている間は、毎日変な夢ばかり見て、まともに...
2023年

ピース(断片)を探して(最終章)

「うーん、口で説明するのはなかなか難しいわね...。できるかどうかわからないけど試してみるわ。」そう言ってから、彼女は軽く深呼吸をしてゆっくりと僕の手に自分の手を重ねた。小さいけれどとても柔らかく、温かい手が僕の手を包んだ。そして目をつぶっ...
2023年

ピース(断片)を探して(中編2)

乗降客の多い駅に着いたとき、たくさんの人が移動する音とドアから入ってきた寒気で、突然、僕は半覚醒状態から目覚めさせられた。自分が何処にいて何をしていたのか分からなくなっていた。なんとか意識を現実になじませようと、手を何度か開いたり閉じたりし...
2023年

ピース(断片)を探して(中編1)

古ぼけた木材の木目が見える、はっきりと。それはどうやら下駄箱で、僕の名前があるような気がする。湿った木と汗の匂い、3月の冷たい雨が鉄筋の校舎に降り注ぎ、音にならない優しい雨音が聞こえる。遊び疲れたはずの子供達は、なおにぎやかに廊下を駆けてゆ...
2023年

ピース(断片)を探して(前編)

これは僕が学生の頃に書いた小説を手直ししたものです。そのため、今の時代にそぐわない表現が多少出てきますが、ご了承ください。(^_^;)夜の地下鉄というのは、2重の闇に覆われている。トンネルの中は闇。電車が地上に出ても、ネオンサインや天気の良...
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