小説 | ページ 6 | ねじまき柴犬のドッグブレス

小説

2023年

ハートに火を点けて 3 2015年 秋 サキ

・2015年 秋 解雇通知を受けた日の夜、僕がまだ大学に通っていた頃の夢を見た。かれこれ15年も前の事になる。 僕は授業をサボって屋上でiPhoneで音楽を聴きながら煙草を吸っていた。仰向けに寝そべっ...
2023年

ハートに火を点けて 2 2030/1/7 失業

・2030年1月7日(月) 正月休みが明けてから、すぐに会社から呼び出しがあった。呼ばれた理由はなんとなく想像ができていた。人事部の応接室に行くと案の定、部長の段田がいつものアルマーニのスーツを着て待...
2023年

ハートに火を点けて 1 2029/12/28 痛恨のミス

・2029年12月28日(金) 「さあ、ボッと燃やしてしまおうぜ、タダノ君。時間はまだ十分にある。」 僕の中に残っていた、まだやんちゃだった頃の僕が語りかける。その声に押されてオイルライターのカバーを...
2023年

ピース(断片)を探して(最終章)

「うーん、口で説明するのはなかなか難しいわね...。できるかどうかわからないけど試してみるわ。」そう言ってから、彼女は軽く深呼吸をしてゆっくりと僕の手に自分の手を重ねた。小さいけれどとても柔らかく、温...
2023年

ピース(断片)を探して(中編2)

乗降客の多い駅に着いたとき、たくさんの人が移動する音とドアから入ってきた寒気で、突然、僕は半覚醒状態から目覚めさせられた。自分が何処にいて何をしていたのか分からなくなっていた。なんとか意識を現実になじ...
2023年

ピース(断片)を探して(中編1)

古ぼけた木材の木目が見える、はっきりと。それはどうやら下駄箱で、僕の名前があるような気がする。湿った木と汗の匂い、3月の冷たい雨が鉄筋の校舎に降り注ぎ、音にならない優しい雨音が聞こえる。遊び疲れたはず...
2023年

ピース(断片)を探して(前編)

これは僕が学生の頃に書いた小説を手直ししたものです。そのため、今の時代にそぐわない表現が多少出てきますが、ご了承ください。(^_^;) 夜の地下鉄というのは、2重の闇に覆われている。トンネルの中は闇。...
2023年

短編小説-カカ男の憂鬱-

ちょっと時期が早いですがバレンタインデー向けに以前に書いた小説です。溶かされて型に入れられるチョコレートになった気分でお読みください。(笑)
2023年

短編小説-雪壁のルール-(後編)

ある日、シナプスは意を決したように雪壁を上方に向かって掘り始めた。ある程度掘り進めた所で、ついに雪壁は砕け散り視界が開けた。そこには満天の星空があった。辺り一面には深く雪が降り積もっていたが、誰もそこを歩いた形跡はなかった。水蒸気の結晶が、万華鏡を覗き込んだ時のようにきらきらと空気中を漂い、遠くに湯煙が立っているのが見えた。
2023年

短編小説-雪壁のルール-(前編)

「全ての物事の基本は道なんだ。道とは人として踏み行うべきもの、道理だ。道がなくては目的地には到達できない。君は今まで道を作るということがどういうことか、考えたことがあるかい?」シンは黙って首を振った。
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