夢 日記 湖 | ねじまき柴犬のドッグブレス

夢日記-鉄砲水-

2023年
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【鉄砲水】
豪雨の際、山崩れなどによってせき止められた水が、堰(せき)を切って激しい勢いで流れ落ちるもの。

これは僕が以前見た夢の内容をできるだけ正確に書いた物です。

僕は何かの理由で一人旅をしていて、まわりを山に囲まれた盆地のような所にある小さな町のホテルに泊まっていた。そのホテルは湖水の透明度が高い事で知られている湖に面していて、ロビーからはその全体像を見ることができた。というのは、そのホテルが町の風景に似合わない近未来的な構造をしていて、高層ビルと言っていい程の建物の外壁は全て硬質ガラスで作られていたからだ。

ロビーには四人掛けのソファーと小さなガラステーブル(やはり、ガラスだ)とコカコーラの自販機が一つ置いてあるだけで内装らしきものは全く施されていなくて、柱もインテリアもなく、フロントすらなかった。おかげで僕は360度、周りの景色を一望することができた。ただ、湖を除けば周りには本当に何にもなかった。特徴のない山の景色ばかりで、人の住んでいる気配が感じられなかった。唯一、人の姿を見る事ができたのは、砂浜で遊んでいる子供達だけだった。その子供達は5、6人いて、ただ水をかけあってじゃれあったりして遊んでいた。僕は他にみるべきものがなかったので、仕方なくその光景をながめていた。そして、そこで待ち合わせをしている別れた恋人に早く会いたいと思っていた。

彼女がこの場所をどうやってつきとめるのか考えていると突然、子供達の一人が鉄砲水がくると騒ぎだした。するとその声に呼応するかのように湖面が急上昇を始め、大津波がおこった。波の色がTVの試験放送のような人工的な七色の原色に変わって、後にはひからびた湖底が砂漠化していった。湖の水全てが津波となってしまいそうな勢いだった。僕は直感的にこのホテルは安全だと知っていたので、ただ成りゆきを見守っていた。子供達の事は少し気になったけれど。考える間もなくホテルは七色の波に被われた。音もなく被さってきた波は思ったより滞空時間が長く、僕はまるでブラウン管の中にいるような気分で数秒か数十秒間じっとしていた。苦しくもなかったし、特に嬉しくもなく小包の受け取りを待っているような時間だった。

ただ、波の引き終わりの瞬間に、暗闇に慣れた目が光の像を結んだような気がした。それは、僕に向けられたかつての彼女の微笑んだ顔のようにも見えた。その時だけはもう彼女には二度と会えないような気がして淋しかった。

やがて波がひくと、あたりは何もかも元通りになっていた。水は透明になり、波は穏やかだった。砂浜には子供達が貝の抜け殻みたいに打ち上げられていた。でもそれは寝そべっているだけで、次の鉄砲水の時は波乗りをして遊んでやろうと考えているのが、ガラス越しに伝わってきたので安心した。正面のガラスには波の色が薄く残り、外の風景をカラフルに彩っていた。また僕の顔や腕のあちこちにも水彩絵の具をこぼした後のような染みが、まだらになってできていた。僕は自分の体をガラスに映して検証しているうちにだんだん不快になってきたけれど、これは自然に消えてしまうものだと直感的に解っていたので不安はなかった。

あれこれ考えていると喉が乾いてきたので、自販機でコーラを買おうと思ったが、ボタンを押したらなぜかバドワイザーの1リットル缶が出てきた。まあいいやと思いバドを飲んでいると、恋人だけでなく家族も待っていた事に気がついた。

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