「すずめの戸締まり」があまり響かなかったのは何でだろう? | ねじまき柴犬のドッグブレス

「すずめの戸締まり」があまり響かなかったのは何でだろう?

2024年
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すずめの戸締まり、期待して見ていたんだけど残念ながら僕には響かなかった。この映画を好きな人がきっと沢山いて、批判的なことを書いてしまうのは申し訳ないから控えた方がいいなと思いながらどうしてもモヤモヤしてしまい、書かずにはいられませんでした。

気になってしまった細かいところはたくさんあったんだけど、それを書くと切りが無いので大きなところだけにします。

まずは、閉じ師とは何なのかが解らなかった。役割は解ったけど、災害は地震だけなのか?洪水もあるだろうし、雷や台風みたいな自然災害は他にもあるんじゃないかと。また一人だけでその役割をするのは、しかも教職を取って続けていくのは不可能なんじゃないか?だとしたら仲間がいて、草太は椅子にされた時点で、すずめよりも先に仲間やもしくは家族に助けをもとめるべきだったんじゃないかと思ってしまいました。

何よりも、すずめがどういう女の子だったのか?学校で友達とうまく付き合っていたかや、どんなことに熱中していたか、どんな悩みを抱えて生きていたのか?物語の背景として3.11のような出来事があってトラウマを抱えていたのかは解ったけど、どんな性格の子だったのかが伝わってこなかった。

草太も同様でイケメンの大学生で教師を目指している優しい男性ということは解ったが、それ以上のことは伝わってこなかった。早いうちに椅子になってしまったからどんな表情をしていたかもよく覚えていないんです。

一言でいうとキャラが立っていない、物語が前提にあってその中に当てはめられている気がしたんです。比較をしてしまうと大変失礼にあたるかも知れないけど、細田守監督の作品、サマーウォーズは、あれだけの登場人物がいたのに、たった一言発しただけでそのキャラの人となりが伝わってきた。キャラが勝手に動いてストーリーを作り上げているような気がして見ていてワクワクが止まらなかった。

唯一、キャラが立っていたのは、草太の友人の芹澤だった気がします。一見、軽いキャラだったけど、とても友達思いで優しくユーモアに溢れていた。だから仮に草太の家族が入院しているおじいさんだけだったとしても、どうして先に頼ろうと思わなかったのかなと不思議に思った。

それを言ったらストーリーが成り立たないといってしまえばそこまでなんですが、まさにそういうところがストーリーにキャラを当てはめていたんじゃないかと感じてしまったところです。キャラが苦難に出会ったときに僕だったらどうするか自然に考えてしまうんですが、彼なり彼女がどうしたらいいのか葛藤しながら一生懸命、現実的に考えて行動する様を見たかった気がします。すごく偉そうで本当に申し訳ないんですが、幻想世界に観客を引き込むためにはリアリティーを突き詰めて気がついたらそこを突き抜けているような感覚を与えるために、現実との境界線を曖昧にする事も一つの要素として必要なんじゃないかと思っています。

もちろんファンタジーには現実的な要素は必要でないのかもしれません。ただそういうものとして見れば良いんだと。そう言われてしまえばその通りなんですが。

最後になんでこんなネガティブな事を書いてしまったかというと、僕はこの映画のおおよそのストーリーを知っていて凄く楽しみにしていたので、ギャップが大きかったからです。そして良くも悪くも自分の心に残った事はすべて記録に残しておきたいと思ったからです。だから、この映画を楽しんで見ていた方々、新開さんのファンの方々が読まれたらどうか気を悪くしないで、ただのおじさんの戯言だと思って読み飛ばしてください(_ _)

それから僕は10代か20代にこの映画を見たら、こんな穿った感情を持たないで純粋に楽しめていたような気がしてます。だからまだ見た物をそのまま受け入れられる若かった頃に見たかった作品でした。また、新開さんの他の映画はまだ見ていないので、前作、次回作を新たな気持ちで見られたらと思っています。

話は全く変わりますが、今日、たまたま坂本龍一さんの闘病生活から死に至るまでのドキュメンタリー番組を見てしまいましたというか、見ずにはいられませんでした。解釈を間違っているかもしれませんが、それを見て強く印象に残った事は書き残しておいた方が良いと思った次第です。

改めて坂本龍一さんのご冥福をお祈り致します。

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