王妃のための失われた王国19-エピローグ-
王妃の物語が完成してから、季節は瞬く間に過ぎていった。新しい年を迎え、母の1周忌も無事に終わり、僕の中で母に対して抱えていた様々な想いは徐々に薄れていった。母の事を考える時間は減り、家族の間でも話題に...
王妃のための失われた王国18-母の死と融和-
母が危篤になったと兄から電話があったのは、お正月休みが過ぎてすぐのことだった。僕は、ちょうど会社に行く準備をしている所だった。「シュン、いよいよあの人が危ないそうだ。すぐ来られるか?」「ああ、ちょうど...
王妃のための失われた王国17-復興、そして同窓会-
王妃が国政に復帰してから、また数年が過ぎた。王妃は今では皇太后と呼ばれるようになっていた。皇太后はかつての経験と持ち前の行動力で手腕を発揮して、国王ヒソップをサポートして様々な問題点をクリアしていった...
王妃のための失われた王国16-親子の和解-
母が聞きたかった曲は、思った通り島倉千代子の「この世の花」だった。母は僕がカセットテープを持って行くと、毎日のように聞くようになった。兄が気を利かせダビングをして、その曲だけが何度も繰り返されるテープ...
王妃のための失われた王国15-この世の花-
王妃の物語を再び書き始めてから、アリゼが頻繁に夢に出てくるようになった。彼はいつも夢の中で「シュン、僕の母様はいつになったら幸せになるんだい?約束が違うじゃないか。」そう言っていた。そのたびに僕は「こ...
王妃のための失われた王国14-君、僕を忘れようとも-
タフラは島に帰ると、アリゼの家に行き事情を説明した。アリゼはタフラに礼を言い、プロムスから貰った桐の箱を受け取った。中身は気になったが、ネネの死を受け入れることで精一杯だったので、とりあえず開封はせず...
王妃のための失われた王国13-旅の終結-
日が暮れてからアリゼはようやく砂浜から立ち上がることができた。家に帰るとクハニと呼ばれる島の神を司る者が、ネネのために読経を唱えているところだった。アリゼの顔を見るとバハリは無言で指を差し、座れと指示...
王妃のための失われた王国12-王妃からの招待、祖母の死-
王妃がアリゼの島に行った後から、話は再開する。アリゼは島の近海に停泊していた謎の黒船から、石炭に代わる燃料として薪の調達を頼まれていた。不審な頼み事とは思いながらも薪を提供し、予想外の報酬を貰っていた...
王妃のための失われた王国11-颯太との秘密-
玄関のドアが開く音で目が覚めた。冬物の洋服を買いに行っていた美穂と颯太が帰ってきたようだった。何も書くことが思い浮かばずに机に向かっているうちに、僕はいつの間にかうたた寝をしていたようだ。iPhone...
王妃のための失われた王国10-解放の呪文-
家に着いたのは9時過ぎだったが、美穂は驚いた表情で僕を出迎えた。「どうしたの、その怪我!大丈夫?顔色も凄く悪いわよ。」「うん、ちょっと疲れてたのかな?躓いて転んじゃってね。もう年かな、ははは。」僕は美...