4月から、会社の後輩が管理職に昇進し、僕の直属の上司になった。
年齢も社歴も、10歳ほど下の彼。昨年からその流れは見えていたし、覚悟もしていた──はずだった。
けれど、いざ現実になってみると、自分でも驚くほどショックが大きかった。
心のどこかで「仕方のないこと」と分かっていたのに、仕事への意欲は急速にしぼみ、虚無感が胸に広がっていった。
それ以来、彼との関係はぎこちなくなった。
以前は冗談も交えながらアドバイスをしていたのに、今は言葉が出てこない。
頭の中には、「退職」「転職」「休職」……そんな言葉ばかりが浮かんでは消えるようになった。
僕には、現場の実務に関してだけは確かな自信がある。
でも、人間関係は昔から苦手だった。
上司との付き合いや社内のネットワークづくり、そういった“社内政治”的なものには、どうしても関心が持てなかった。
一方で、彼はコミュニケーション能力に長けていた。
上司にも可愛がられ、社内の調整ごとも積極的にこなす姿を、僕はずっと見てきた。
だから、この結果は当然だったのかもしれない。
……分かっていた。
分かっていたのに、「おめでとう」と素直に言えない自分に、驚きと、そして少しの失望を感じた。
ああ、僕はこんなにもプライドの高い人間だったのか。
そんなふうに、自分自身の“知らなかった部分”と向き合う日々が続いている。
今も、重い体を引きずるように通勤している。
彼はいつも通り接してくれるけれど、僕のほうがうまく振る舞えない。
時間が解決してくれるかもしれない、という気持ちと、
「もうこのタイミングで環境を変えた方がいいのかもしれない」という気持ちが、心の中でせめぎ合っている。
会社という組織の中で、生きていくことの息苦しさ。
それは僕に限ったことじゃないはずだけど、そろそろ“我慢”にも限界を感じ始めている。
人生には限りがある。
だったら、自分らしく生きられる場所を探したい。
それは職場じゃなくてもいいのかもしれない。
自然が豊かで、同じような悩みを持った人たちが集まるコミュニティ。
年齢も近くて、共通の痛みや喜びを語り合える場所。
そんな場所で、もう一度、生きる力を取り戻せたら──と、ふと思う。
独り身の今だからこそ、地方移住という選択肢もある。
けれど、不安もある。経済的なこと、人間関係、そしてなにより、今の自分の心の状態。
だからまずは、無理をしない。
ちゃんとご飯を食べて、ちゃんと寝て、ちゃんと自分をいたわってみる。
そして、心に浮かんだ感情を、そのまま形にしてみる。
ブログに書いてみたり、文章や絵、音楽、映像、なんでもいい。
収入にならなくても、誰かに評価されなくても、「いま」の自分を表現してみることが、何かのきっかけになる気がしている。
明石家さんまさんの言葉に、僕がずっと励まされてきた言葉がある。
「生きてるだけで丸もうけ」
たしかに今は、しんどい。心に雨が降っている。
でも「止まない雨はない」という言葉を信じて、もう少しだけ待ってみよう。
心が晴れるその時に向けて、ゆっくりと、自分のこれからを考えてみようと思う。
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